住宅はいろいろな空間が重なり合い、ひとつの建物になっています。
その中でも家族の出入りを支えたり、たくさんのお客様をお迎えしたり。
玄関は家の顔と言っても過言ではない空間のひとつです。
他の空間でも言えることですが、広い視野で考えて空間をイメージすることで、有効的に使う空間へ変化します。
今回は家の顔になる「玄関」という空間をしっかりと活かすために解説します。
玄関を快適な空間へ変化する工夫がいっぱいです。ぜひこだわりの玄関を作ってみませんか。
自分たちが玄関に望むことは
現在賃貸物件で住んでいる人、既存の一軒家で住んでいる人など、生活スタイルもさまざまです。
しかし共通点をあげるとすれば、「玄関の困りごと・玄関に希望すること」があるということです。
賃貸物件であれば、もっと広い玄関にしたい。
収納力がある玄関に住みたい。既存の住宅であれば、使い勝手のいい玄関にしたい。
湿気や日当たりなどの環境をよくしたい。
など玄関に希望することはいろいろです。
困りごとや希望することをまとめることは、快適な使いやすい玄関にするためには、重要な部分です。
新しい住宅に実際に住んだ時をイメージして、玄関のデザインや間取り、広さなどを考えていくことが大切なのです。
そのためには困りごとや希望は、方向性を決める第一歩です。
玄関スペースの広さとしては、玄関土間に1畳、玄関ホールに1畳、収納に1畳が一般的には欲しい広さの目安です。
そして玄関は広さだけでなく、玄関ドアやホールの向き、リビングなど他の部屋に向かうための位置関係などによっても、快適性は違ってきます。
奥行きや幅を持たせることで視覚的にも広く見せることも可能で、吹き抜けなどを作ることで採光のアップも期待できます。
自分たちがどんな玄関を望むのか、そして玄関をどのように使用するのかによっても、プランやアイデアは変わってきます。
玄関ドアでも違いが出ます
玄関という毎日使用する空間を快適にするためには、まず玄関ドアの違いを知っておくことが大切です。
選ぶ玄関ドアによっても、玄関の幅が必要なのか。
それとも奥行きを広めに設定するのかなど、変化してきます。一般的な玄関ドアの特徴を解説します。
玄関ドアのタイプは大きく分けて「開き戸」と「引き戸」に分かれます。
これは玄関扉がどのように開閉するのかによって区別されています。それぞれのドアを比べてみましょう。
□ 開き戸
引き戸は各メーカーから多くのデザインやバリエーションで幅広く展開されている玄関ドアです。
引き戸と比較すると断熱性にも優れ、スペースの面でも少ないスペースで可能な部分も特徴としてあげられます。
片開きドア
数多くある玄関ドアの中でも1番多く使用されているドアが、この片開きドアです。
一枚の玄関扉が左右どちらかに開閉するタイプです。
最も一般的な玄関ドアとしてニーズも多いことから、メーカーの販売種類も多く、デザインも豊富です。
狭いスペースであっても設置が可能という部分は最大の特徴となっています。
親子ドア
大きな親扉と小さな子扉が一緒になったタイプの玄関扉です。
親扉を開けば、子扉も開閉できるので大きな間口が活用でき、大きな荷物などもラクラクと搬入することもできます。
主に玄関で出入りするのは親扉で行います。
片開きドアの横に小さな扉がついたものが親子ドアです。
片袖ドア
この片袖ドアとは、玄関ドアの片側に部分にガラスなどがはめ込んである玄関ドアになります。
見た感じは親子ドアと似ていますが、玄関ドアのように開閉はできません。
玄関という空間にはめ込んであるガラス面から、明るい光を玄関内に取り込むことも可能です。
機能は片開きドアを同じですが、デザイン面などちょっとしたアクセントを加えることもできます。
また両側にガラス面などが配置されているタイプを両袖ドアと言います。
両開きドア
親子ドアとは左右大きさの扉が開閉するタイプの玄関ドアです。
左右のドアが大きく開閉することで、開放感は桁違いです。
玄関内に自転車を入れるなど、使用目的によっては有効的に活用できます。
通常のドアが2枚ある状態となりますので、どうしても広めな玄関ドアスペースが必要となります。
一方では玄関ドアのデザインにより、高級感をより一層引き出してくれる魅力も持っています。
□ 引き戸
気密性や防犯性の高さを考えるとどうしても開き戸に叶わない部分もありますが、近年性能もアップされています。
そして何より小さいお子様や年配のご家族がいる場合は、扉の開け閉めがしやすい開き戸は有効的です。
家族のライフスタイルに合わせて、セレクトすることが大切です。
引き戸の種類としては引き違い扉、片開き扉(2枚(3枚)片開き扉)、両引込み扉などがあります。
片引き戸は開き戸から引き戸へのリフォームがしやすいのが特徴です。
住宅は短いサイクルでの商品ではありません。
将来を見据えて最初は引き戸、将来開き戸など大きくイメージチェンジすることも可能です。
玄関に持たせる収納力
玄関スペースに何を求めるかによっても、空間の利用は大きく変化します。
現在の住宅でも収納の大切さが重要視され、さまざまなアイデアにより有効的な利用がされています。
今までであれば靴を入れるだけだったスペースも、そこに入れる靴の種類により収納できる工夫をする。
またライフスタイルによっては、靴以外にも収納できるように容量を持たせ、有効活用ができるようにされている収納もあります。
玄関スペースの有効活用法:ウオークインシューズクローゼット
家族構成によっては、大容量の収納が必要となる場合も考えられます。
そして現在は生活や家族構成に応じた玄関収納を取り入れている住宅も多く見かけます。
例えば小さなお子さまがいるご家庭であれば、ベビーカーなどの用品が収納できるスペースを確保する。
将来はそのスペースに外で利用するアウトドアグッズやバリアフリーのための車椅子や買い物カートなど、利用価値は年代によっても変化できます。
物は収納へという考え方から、いつでも使いたい時に使えるように収納スペースを兼ねる玄関スペースも近年注目されている使い方のひとつです。
玄関スペースの有効活用法:玄関専用お出かけ収納
今までであればコートやカバンなどは部屋の中へ持ってはいるのが一般的ですが、玄関にお出かけ収納を作り付けることで専用の収納として活用できます。
花粉の時期などは衣類を持ち込まないことでアレルギー物質を防ぐ効果も期待できます。
そして使い方によっては、子どもたちの学校カバンを明日の用意が終わったら収納しておくなどのルール付けで、自主性も育むことも可能です。
収納は使い方がひとつではありません。アイデアによって無限の可能性を秘めているアイテムなのです。
快適な玄関にするためのポイント
快適な玄関スペースにするためには、収納力のアップなどもひとつの方法ですが、ちょっとした気遣いをするだけでも変化していきます。
ここでは快適な玄関にするためポイントをまとめてみましょう。
ちょっとした工夫が、これから始める生活に変化をあたえてくれるかもしれません。
上がり框
玄関から室内に入るために、土間から靴を脱いで段差を上がって入ります。
その上がる堺の縁部分を上がり框(かまち)と言います。
その高さが高すぎると、小さなお子さまなどは靴が自分で履きづらいなどの支障がある場合もあります。
そして将来性の部分からもあまり高さがある場合、バリアフリーの面からも支障が出てしまう場合も考えられます。
ただ玄関から部屋に入る段差だけというだけではなく、いろいろな部分を含め注意しておくことが大切です。
玄関照明
玄関の照明は家のデザイン性をアップさせる部分でも有効的ですが、一番は防犯性を高めてくれる部分です。
暗くなってからの帰宅でも安心できる。
また自動点灯などの照明をプラスすることで、犯罪を防ぐ効果も期待できます。
現在はデザイン性もアップしながら、防犯性も考えられている商品もたくさんあります。
家づくりの際には家を守る防犯面も一緒に検討していくことが大切です。
採光や断熱性などの空間環境
玄関は人が外から中へ出入りする関係上、湿気やカビなどの発生が多くなってしまう場所でもあります。
またリビングなどのいつもくつろぐ部屋よりは、日差しの少なくなってしまう位置関係に配置される場合も少なくありません。
そのため日当たりや断熱性など空間環境をアップさせておくことも大切です。
特に冬場は玄関からの冷気の侵入は家の断熱性の全体を低下させてしまいます。
疎かになりやすい部分だからこそ注意しておくことが大切なのです。