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2022.09.01

床下エアコンの効果をサーモグラフィで検証してみた

断熱・気密(性能) 住まいに必須の要件10 日々のこと / 現場より
床下エアコンをサーモグラフィーで検証してみました。

上記の写真は1Fの床下エアコン(14畳タイプを24時間連続稼働)を使用のみのサーモグラフィーの画像を載せてみました。
(撮影日:2/7 真冬)

床下エアコン設定温度23℃時ダイニングテーブル下の様子。ダイニングテーブル下部に空気が抜けるガラリを取り付けているので温かい空気がでているのが解る。
足元の方が温かいので頭部が足元より冷えていても快適です。室内上下温度差も1℃にも満たないので快適である。

下の写真はアルミサッシを使用した家で室内に暖房を炊いた温度分布です。
室内の上下で3℃近く差が付いているのが見て取れます。
こういう状況の場合、足元が冷えているので寒いと思って暖房温度を更に上げる傾向にありますが、上げれば上げるほど暖かい空気は上部に溜まってしまうので一向に足元の温度は上がりません。こちらの住まいはまだ壁や屋根の断熱性が良いので3℃以内で収まっていますが、断熱性が良くない住まいは5℃~7℃程度の上下温度差が出来てしまうこともあるので、中古住宅をリノベーションするような場合は室内のお洒落ばかりに気を使ってしまうと快適性がとても担保できるような住まいにはならないので注意が必要です。
下部の写真はアルミサッシ部分の映像ですがアルミサッシだとガラスというよりアルミの枠の部分の温度が極端に低く、冷気がアルミの枠から伝わり、上部の写真のように冷気は重たいので下に溜まるのです。

このように空気は冷気と暖気は一向に時間が経っても混ざらないので上部の写真のように上下でくっきりと温度分布ができてしまうのです。
上記写真のように顕著な例ですが最近のコンビニでアイスクリームを陳列してある冷蔵庫に蓋がないことにお気づきでしょうか?冷気は重いのでボックスから逃げないので最近のアイスクリームボックスには蓋がないのです。冷気は暖気と混ざることはないんですね。
(床下エアコン設定温度23℃時の1F床面の様子)

話は飛びましたが、上記の映像は床下エアコンを使用した時の床面の温度分布です。燃えているように見えますが、実際は「ぬくとい」感じで床暖房のようにじっと座り続けていると低温火傷するような熱さではなく丁度いい温度なのです。床下エアコンの温度設定を変えることは容易ですから、好みの温度に可変できます。

上記のサーモ映像は床面23℃で室内頭部温度が22℃弱です。温度を上げすぎなくても快適です。本来は冬場は18℃~22℃くらいが人は快適ですが、皆さんの中にもエアコンの温度を26℃~28℃に設定していた記憶はないでしょうか。それは22℃設定の暖房では温かくない経験が小さいころから植え付けられていたからです。日本の住まいは断熱性に乏しく、昔から冬は寒いのが当たり前だったからです…

かくゆう私の実家も一戸建ての40年前に父親が建てたほぼ無断熱に等しい住まいでは冬場は吐いた息が白かったことを鮮明に覚えています。それを局所的なストーブで体を温めて過ごしていました。それは大袈裟ですが…まだまだ断熱性に乏しい住まいが建築され続けている現状もあるので見極める目を持つことが重要です。

このように断熱性の良い住まいに住むと暖房器具のストーブ、ファンヒーター、こたつは勿論要りません。一番光熱費の安いエアコンが大活躍するのです。

下部の写真は床下エアコン25℃設定時の2階の部屋の温度分布です。

床下エアコン25℃設定時の2Fの室温の様子、吹き抜けがあると下から温かい空気が上昇してきている。写真右下は吹き抜け部分から熱が伝わっているのが解る

断熱・気密性能を保持すると床下エアコンのみで1・2Fのみならずロフト階まで床下エアコン1台のみで冬は過ごせることが実証されました。

床下部分のサーモ映像。床下エアコン25℃設定時。温かい空気が床面を這いずり回る様子が伺える

高気密高断熱の住まいは室内上下温度差が0.2〜1℃に収まります。断熱性の良くない住まいは室内上下温度差が5℃〜7℃程度になってしまいます。

床下エアコンの生温かい気流が床下の通気孔を通じてゆっくりと室内全体に行き渡り、吹抜けがあれば2Fにまで気流が伝わりやすくなります。

なので冬場は床下エアコンは付けっ放しにしていただいております。温度も割と低い設定で運転していただくのと2Fまで行き渡ればエアコン1台から2台で乗り切れるので日々のランニングコストの電気代も安く抑えられますし、イニシャルコストも抑えられるので非常に効果的です。

床暖房は非常にランニングコストがかかりますし、1Fの床全部に敷設すると多大なイニシャルコストがかかります。

床下エアコンはトイレや脱衣所まで温められるので重宝していただいています。

あるお客様は掛け布団をはだけて寝られていることに気付かれたそうです。

北名古屋市で新築の家を建てられるなら床下エアコンをセットしておくことをお勧めしてます。
足元が温かいと人は活動的になり、動くのが億劫ではなくなります。また、足元が温かいと血流の流れが改善され冷え性が緩和されます。

日本人は結構床に座りながら生活してます。私もその一人ですが、ソファがあるにも関わらずソファの下に座りソファにもたれかかっています。

もしくは床によく寝転びます。寝転びながらテレビをよく見ています。そうした時に床暖房ではなく、電気カーペットでなく床下エアコンという選択肢がこれからのスタンダードです。

冷えは万病のもとですから特に冷え性で悩んでみえる方には身体に大きな変化をもたらします。

冷え性の症状は手足が冷たくなりますが、何故手足が冷たくなってしまうのかご存知でしょうか。

人間の体は寒くなると手足の表面の血管を細めます。それは血液の流れを減らし、温かい血液を出来るだけ内臓に集めようとする為です。防御本能なんですね。

そのため手足が冷たくなってしまうのです。なので今更ですが体を温めることはとっても大事なんです。

冷え性は末端の冷えに伴い、女性の場合、肌荒れ、生理痛、生理不順、頭痛、肩凝り、めまい、腹痛、体のだるさ、不眠で寝付けない、ひいてはイライラや鬱にまで及んでしまい、こうしたことが発端で重大な病を引き起こしてしまうのです。それくらい冷えの対策は重要なのです。

住まいの環境は人間の健康に大きく関わっています

住まいは健康を脅かす直接的な原因になっていると言っても過言ではありません。知らず知らずのうちに人間の健康をむしばんでいるのです。

イギリスでは18℃を下回る住まいに住まうことに警告を与えています。

昔から日本人は冬の寒さを我慢してきました。我慢することが美徳であり、寒い環境に身を置くことが体を丈夫にすると言われて私自身も育ってきました。しかしその考え方は間違っています。温かい環境で快適に過ごすことが人間の身体を強くします。
温熱環境の権威である東大の教授もこうしたことに警鐘を鳴らしています。

人間が暑さ専用にチュ ーンされていて 、本当の弱点は寒さであることが分かる 。人体は熱ロス過剰にならないよう 、全身の冷点で常に寒さへの警戒を怠らない 。人間の快適と健康のためには 、まずは寒さの克服が最優先であることは自分の体を見ればおのずと明らかなのだ 。

引用 エコハウスのウソ [増補改訂版 ]前真之東京大学准教授
冬温かい環境に住まうとまず風邪を引きません。冷気を吸い込まないので喘息も引き起こしません。

大人の方でも喘息持ちの方がみえますが、幼い頃の環境が多大に影響を与えていたのではと推察します。

人間の身体は環境に大きく影響を受けます。住まいは人生の半分を過ごします。その環境に気を遣うことは家族の健康を守るという大変意義があることです。

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