ホコリ・油・水アカ・カビなど、さまざまな汚れが発生する中、快適な住宅を維持するためには「汚れの種類」や「掃除方法」をきちんと理解することが大切なのです。
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人間が生活していく中で必ず汚れは発生します。
住まいの汚れには千差万別。
いろいろな汚れが存在しますが、その中でも代表となる汚れの中に「ホコリ」があります。
このホコリ。日常生活していく中でよく見かけますが、放っておくことで強敵にもなるのです。
ホコリとは
ハウスダストのひとつです。
ホコリは屋外から入り込んだチリや、室内で発生するチリが集まってできています。
私たちが日常着ている服などから出る綿ボコリや、食べ物から発生する食べカス、花粉、ダニなど原因はさまざまです。
人間が生活していく中で、チリの発生は防ぎきれません。
それが集結し、ホコリとなって私たちの目に現れてきます。
ホコリは各種のアレルギー症状の原因にもつながるのです。
たかがホコリと思わず、ホコリの内に防ぐことが家族の健康や住宅の寿命にも大きく関わってきます。
ホコリは変化する物質
ただのホコリの内は空気中を浮遊していたり、棚や壁などにまとわりついている感じです。
しかし時間の経過につれて変化してきます。
軽く家具などの上に乗っているホコリは、はたきではたいたりお掃除用品でなでることで取ることが可能です。
そこに水分や油が加わることで、落ちづらい汚れに変化します。
そうなるとはたくことでは落とせず、拭き掃除が必要となってきます。
またそのまま放置してしまうことで、今度は表面にしみこんでいく汚れに変化します。
このようにたかがホコリではなく、住宅の寿命にも大きく関わってきます。
こまめに掃除をすることはもちろんですが、日々忙しく生活している中では難しい場面も多いのが現状です。
家づくりの際に掃除をしやすい間取り、家具の配置などを考えることで、日々への負担は変化します。
アイデア次第で大きく変わる可能性を秘めているのです。
環境によって変わる 汚れの違いとは
家の汚れの代表でもあるホコリでも、時間の経過によって大きな違いがあります。
住宅は生活環境によっても、汚れ方や発生する汚れも変化します。
特に家族が多く使用するキッチン・バスルーム・トイレなどは、汚れが多くなる場所になります。
住まいに発生しやすいポイントをまとめてみましょう。
キッチン
● 油汚れ
油汚れでも汚れ方によっても大きく変わってきます。
換気扇やガスレンジなどに付着する油汚れは、最初のうちは落としやすいです。
しかし長時間の光や熱に反応し、空気中で酸化してしまいます。
そのため汚れがついてから時間が経過する度に、落とすことが困難になってきます。
● ガスレンジの焦げつき
現在はオール電化のお宅も多いとは思いますが、レンジなどにつく焦げつきは早めの対処が必要です。
IHクッキングヒーターであればサッと拭き掃除ができますが、ガスのレンジの場合は凸凹も多くあるため敬遠しがちになってしまいます。
周囲についてしまった煮汁や油の汚れは、その後調理などで加熱する熱によってさらにこびりつきます。
落ちにくくする原因は、炭化なのです。
炭化とは、加熱によって有機物質が分解し、炭素に富んだ物質になること(デジタル大辞泉より)です。
その物質に変化させないことが重要なのです。
ガスコンロでも使い終わったら、布かスポンジでサッと水拭きするだけで焦げつきも防止できます。
から拭きで仕上げることでさび防止にもつながります。
その他には、油と吸着するとやっかいなホコリや水アカ、食品などの食べカスなども注意が必要です。
バスルーム
● 石けんカス
バスルームで多く使う石けん(ボディシャンプー)などは、体を清潔に保つためには必要なアイテムです。
原料はパームヤシやココヤシなど天然の植物を使用していますが、石けんの主成分は脂肪酸とアルカリからできています。
石けんの成分からできる脂肪酸ナトリウムと水に含まれるカルシウムイオンが反応することで、脂肪酸カルシウムができてしまいます。
時間の経過によりこびりつきも強くなり、取れなくなります。
使い終わった後しっかりと石けん成分を洗い流すなどのちょっとした工夫も大切です。
● 水アカ
バスルームやキッチンでも目につきやすいのが、この水アカです。
水アカは水道水に含まれるケイ酸や無機質成分が原因のひとつです。
そしてケイ酸などが他の汚れと交わりあうことで水アカは発生します。
バスルームやキッチンなどは、水を使わなければいけない空間です。
キッチンなどの拭き掃除が簡単にできることは拭き取り、バスルームは他の汚れと交わらないように汚れを流すことが水アカにも効果的です。
私の家は最後の人が浴槽をスポンジでサッと拭いたり、冷水シャワーで全体を洗い流して出てくるように
習慣づけています。これでかなり新品に近い状態を保つことが出来ます。
● カビ
バスルームでポツポツと黒い汚れが発生する。
これがカビです。
カビの発生には、常時ある酸素と適度な温度・湿度が原因となります。
そしてカビを大きく成長させる栄養源が必要なのです。
浴室は高温多湿の空間なので、カビを繁殖させるには絶好な空間となります。
そして栄養源となる湯アカがさらに繁殖を増殖させます。
防止するためには、高温多湿を解消させるように空気の流れの良い空間にすること。
そして繁殖の栄養素となる水アカを防止することが大切です。
我が家では冷水シャワー後は換気扇を4~5時間回しっぱなしにして
湿気を取るようにしています。
カビがパッキンなどについて取れなくなることがあります。
その場合は最近ゴムパッキンのカビをとるジェルタイプのものが市販されています。
これでかなりのカビをとることが出来ます。
トイレ
● 尿石
尿石は尿に含まれる成分が便器内で固まったものです。
人の排泄物が微生物によって成分と水に含まれる成分が結びつき発生します。
何気なく用を足していますが、日々頑固な汚れとなってこびりつきます。
この汚れは匂いの原因にもつながります。
注意しておきたいポイントです。
● サビ
トイレはどうしても住宅の中でも目立たない場所に配置されることが多いです。
そのため室内に湿気もたまりやすい環境になる場合も考えられます。
金属部分は目立たない所にあり、湿気や腐食性ガスによってサビが発生しやすいのです。
水漏れや設備の寿命にも影響しますので、掃除の際に汚れと劣化もしっかりと確認しましょう。
家づくりでも手助けできます
このように使用している環境や使用頻度によっても汚れの付き方は変化します。
汚れと言っても掃除方法も違えば、防止する方法も違います。
家づくりにも掃除をしやすくする工夫を取り入れることはできます。
利用頻度はどうなのか。
自分たちのライフスタイルでできることは何か。
など家づくりのパートナーに相談してみましょう。
今は設備でもカバーできる部分はたくさんあります。
家づくりのパートナーは家を作るだけではありません。
今まで培ってきた経験やノウハウなどがあなたの家づくりに活きてくるのです。
掃除のしやすい家を住宅へ
自分たちが新しく暮らす住まいにどんなことを求めるのか。
そのことにより家のデザインや間取り、居住空間の作り方などは大きく変化します。
デザインを追求する。
広い空間を作りたいなど、さまざまです。
掃除をしやすい家を作ることも可能なのです。
掃除のしやすい家とは、一体どんなお家なのでしょうか。
家づくりの中でも気をつけておきたいポイントをまとめます。
あなたの家づくりの中に活かしていきましょう。
窓
掃除がしやすい環境を考える上で外せないポイントが、窓です。
窓の配置や大きさにより掃除のしやすさは大きく変化します。
窓には採光や通風など、部屋に環境に大きく変化を加えてくれる大切なアイテムです。
そのため配置などには気を配る部分でしょう。
しかしあまり大きな窓だったり、高い部分に配置した場合、掃除はしづらくなってしまいます。
特に階段や吹き抜けの窓・開閉できない窓も掃除が難しい場合もあります。
長く暮らすためには快適性も大切ですが、日常の手入れのことも頭に入れプランニングの際に注意しましょう。
フローリング
フローリングは使用する素材によっても大きく掃除の方法は変化します。
直接肌が触れる部分だからこそ、清潔に保つことができるのかなどの素材選びも重要です。
住宅の床材には、無垢材や木質フローリング、カーペット、タイルなどたくさんの選択種があります。
その中でもその部屋の使い方を考えながら選ぶことで、掃除に適したフローリングを選択できます。
例えばキッチンや洗面所など汚れが発生しやすい空間などは、汚れ防止や耐傷性、耐水性のあるものを選ぶことで住宅に対する影響も変わります。
収納
物を収納するためには、収納空間を設ける、家具などのインテリアを配置するなどの選択種があります。
同じ収納でもリビング・ダイニングには壁面収納。
衣服などの収納はウォークインクローゼットを設ける。
などの工夫を加えることで置き家具を少なくなり、掃除もしやすくなります。
掃除機もかけやすくなり、床に置く物が少なくなることによりお掃除ロボットも有効的に利用できます。
収納で気をつけたいポイントは、ホコリがたまらないようなプランにすることも大切なポイントです。
掃除しやすい家も大切だけど
こうやって掃除しやすい家をまとめてみると、個性が感じられない。
面白みが少ない。
など感じられる方もいらっしゃるでしょう。
家づくりの基本は、家族がどう過ごすのかです。
掃除などの日常部分を大切にすることももちろん大切ですが、家づくりに遊び心は必要です。
自分たちでできない部分はハウスクリーニングなどをうまく活用することもひとつの方法です。
一番大切なことは、自分たちの想いをカタチにすることです。