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2023.02.08

再利用熱暖房(低温で温める)に代わるとき

冬の対策 夏の対策 乾燥対策 断熱・気密(性能) エアコンのない家
こんにちは。

現在モデルハウス建築中です。
完成はおそらく3月中旬から下旬くらいになると思います。
お待たせしており、申し訳ございません。

さてタイトルにもあります再利用熱暖房(低温で温める)ということは
どういうことか?ですが、

分厚い断熱いわゆるUA値で言うとG2.5~G3程度に該当する訳ですが
(内断熱と外断熱を併用すると言い換えることもできます)
このように断熱をする目的は、単に燃料費を減らす
(単に省エネするにとどまらない)ことではなく、
構造体や床下空間も含めて建物全体の温度を確保することによって
建物全体の熱損失が小さくなります。

そうすると、内部発熱(照明、家電、人体発熱)と窓からの日射取得熱による
室温上昇が顕著になり、燃料費(エアコンなどの家電消費量)に代わって
暖房の主電源に代わってきます。

断熱によって燃料が減るというだけでなく、今まで忘れていた熱源を再発見でき、
用済みで安全な熱源を有効に再利用するのは言わば「再利用熱暖房」と言えます。

分厚い断熱によって建物全体の室温が保たれるようになると、
空間全体が活きてくるだけでなく、寒さを防ぐための間仕切りやドアの開閉が
要らなくなったり、建物全体の設計の仕方、空間の作り方や生活の仕方にも
変化が現れます。

そもそも暖房の設計も暖かさを求める必要がなくなり、
低温で温めるという段階になっていきます。

それは春や秋の爽やかさが目標になり、部屋ごとに温度を変える必要もなく
なるので、制御や系統分けも簡単になり、何よりも設備や装置は
暖房の主電源ではなく、補助電源になりますから、
必然的に低温暖房が主流になってきます。

このとき主電源となる生活発熱や日射取得熱は日によって
時刻によって大きく変動しますから、
もし室温を一定に保とうとすると大変ですが、
春や秋の暖房がない時期と同じ様に
日中と夜間の自然な温度変動を認めてしまえば、
補助電源の暖房装置で室温を一定にしようなどという
気遣いも不要になってきます。

今回の写真にありますように、
最上部の19.0℃(グローブ温度=体感温度)
左19.0℃(空気温度)相対湿度51.8%
右19.4℃(表面温度)
外気温1~2℃程度

の表すところはエアコンなどの暖房器具を主電源とせず、
生活熱や日射取得熱などが主電源に切り替わり、
室温を保ちながら、分厚い断熱された住まいにおいては
表面温度20℃程度と高くなり、
室温(空気温度)が18℃~20℃と低くても、
体感温度は18℃~20℃を得られ、

結果的に室温(空気温度)が低くても温かい環境を
作っていることになります。
低温で温めることは相対湿度は50%以上保つことが
容易なので乾燥感を感じることがなく、
過ごせるということになります。

通常、低温で温かいというのは理解し難いですが、
一般的には断熱層が薄いと表面温度は低くなるので
この場合室温が18℃~20℃であっても、
体感温度を18℃~20℃を得られていないので、
どうしても室温を23℃~25℃とかにしないと
寒く感じるのはこの為です。

■体感温度≒(空気温度+表面温度)÷2
(気流の影響が無い場合)

このような公式が成り立つので
表面温度を意識することが
大事にしていただきたいポイントです。
表面温度(平均放射温度MRTともいいます)
だけ意識していればOKと言っても
過言ではありません。

表面温度を高くするために、
分厚い断熱層が外の環境と
しっかり境界をつくるためには
肝であります。

分厚い断熱層によって熱損失を減らすと、
日中の取得熱だけでも夜も温かい住宅に
なりますし、木造であっても、
間仕切りに熱容量の大きな材料(土壁やレンガ、
石など)を使用したり、床下地盤も
室内側に取り入れるような方法(床面を土間
コンクリートなどにする)で熱容量を増し
断熱を十分にすると室温が安定してきます。

冬の場合だけでなく、これは夏場においても
有効で、例え室温が30℃くらいあっても、
分厚い断熱をもつ住まいは表面温度が
低く、熱容量が大きい住まいは
内部で発生した生活熱(人体から発生する
熱、照明、家電)を吸熱してくれます。
大前提として日射遮蔽をしっかりする
条件付きではありますが、
快適範囲を超えないのでとても有効です。

※熱容量を大きくするは蓄熱材を入れると
同義になります。

話は長くなりますが、マクロな視点では
電気を使わないという省エネが
目的となってしまっている昨今ですが、
こうした断熱という境界をしっかりすることで、
本来そこに存在する無償の自然エネルギーなどの
働きが顕著に表れてきます。

地球温暖化や資源枯渇を求める省エネルギーや
法規制はもちろん重要な課題ですが、
外界に欠点を見出し、その克服を求める欠点対応の
意識がある限り、それを長期にわたって持続するのは
困難ですし、そのような外界を欠点と見ている間は
その領域からはいつまで経っても
抜けられません。

建築特に住宅は太陽、雨、風、雪、氷、植物、気温変動、
蓄熱、放射、蒸発、熱対流など無償の自然エネルギーに
包まれ支えられています。

そうした自然エネルギーはひとつひとつは
弱いエネルギーではありますが、
それを活かす環境を作るのが建築の役割でもあります。

思い通りになる有償エネルギーの存在で隠れて目立たない
エネルギーではありますが、個性を生かし、
その性質を活かしていく無償のエネルギーの活用こそが
省エネルギーの入り口だと考えます。

 

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