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2022.09.24

冬の乾燥対策に真剣に向き合う

冬の対策 乾燥対策 断熱・気密(性能) エアコンのない家
高断熱・高気密住宅でも、日差しが入らない時・外気温が低い時は「肌寒い」と感じることもあります。
(性能次第で、寒さの程度は変わります。)

これを補うものとして、LDKなどではエアコン・石油ファンヒーター・ガスファンヒーターなどの設備を使うのが一般的ですが、高断熱・高気密住宅では、石油ファンヒーターやガスファンヒーターといったいわゆる「開放型燃焼器具」は使用できません。

気密性が良すぎるので、燃焼した際に発生する一酸化炭素が部屋に充満し、頭痛などの中毒症状を引き起こす可能性があるからです。換気扇が近いキッチンのガスコンロ以外、開放型燃焼器具の使用は控えないといけません。

すると、エアコン暖房を使うことが多くなりますが、ここが乾燥のポイントなのです。

なぜ冬は乾燥する?

エアコンの話の前に、少し空気の性質について触れたいと思います。

そもそもなぜ冬は乾燥するのでしょうか?

理由は、空気中に蓄えられる水分「水蒸気の量」(飽和水蒸気量)にあります。

ーーーー
・暖かい空気
 →水蒸気を多く含むことができる

・冷たい空気
 →水蒸気を多く含むことができない
ーーーー

冬の空気は冷たくなり、それまで蓄えていた水蒸気を抱えきれなくなると、水や氷になります。
もっと冷え込むと、同じことが繰り返されます。

結果、空気中の水蒸気量がどんどん少なくなっていくのです。
これが冬の乾燥の原因です。

なぜエアコン暖房は乾燥する?

寒さが厳しくなり、少しづつ空気中の水蒸気が減っていく中、室内ではエアコンで空気を暖めています。

空気が暖まることで、蓄えられる飽和水蒸気量「受け皿」は増えたのに、実際の水蒸気量は少ないまま。
相対的に空気の中の水蒸気量(相対湿度と言います)は、ぐんと下がっていきます。
この状態になると、圧力差により空気と触れている物体側の水蒸気が奪い取られ、物体が乾燥していきます。
さらに、エアコンの風が直接当たることも、乾燥を促していきます。

身体で言うと、皮膚・口などから水分が蒸発していき、肌も喉もカラカラになっていくのです。

エアコン暖房を使った環境で、何の対策もしない場合は、室内の相対湿度は15-30%ほど。
洗濯物がすぐに乾いてしまうほどの状態です。

過度の乾燥は人にも建物にも悪影響

カラカラになるほどの乾燥が長期間続くと、身体にも建物にも次のような影響が出てきます。

[身体への影響]
・喉の渇きや痛み、ドライアイ、肌荒れ
・ウイルスが活発になる
・ハウスダストを吸い込みやすい
・上記により風邪、感染症を起こしやすい
・静電気の発生、など

[建物への影響]
・クロスが切れる
・床材に隙間ができる
・木材が割れる
・ハウスダストが乾いて舞いやすい、など

エアコンを切ると空気が冷えてくるので、仕方なく暖房をかけっぱなしにするか、暖房を切って寒さを耐えるか。。冬に健康被害が多いのは、寒さと、乾燥によるものです。

エアコン暖房を使いながら、できる限りの対策を!

私たちの経験上「心地よく潤っている」と感じる快適ゾーンは、室内の相対湿度が50-60%あたりです。

そこに何とか近づけるために、次のような取り組みをしてきました。
(全室を1〜2台のエアコンで賄える高断熱・高気密住宅の家づくりは当たり前として、エアコンの数を減らす対策については割愛します。)
[対策1] 加湿器を併用する

お客さまに加湿器をご用意いただきます。小さなものは効果が薄いので、大型で気化式のものが良いです。
空気清浄機能もついている加湿器もあります。仕様をご確認の上、エアコンのある場所・長く居る場所に設置します。

これで、室内の湿度を10%ほど上昇させることができます。

加湿器

[対策2]全熱交換器を使う

換気システムである「全熱交換器」を活用します。家づくりの時に導入します。

全熱交換器を使うと、換気の際、室内の顕熱(温度)と、潜熱(湿度)は外に出さず、室内に留めます。
つまり、換気に伴う室内の温度・湿度変化を最小限に抑えることができるのです。

このシステムでは、換気ダクトを通じてお風呂の水蒸気も回収し、各居室に配ることができるので、家全体の湿度を程よく保つことができます。換気と併せて、湿度や熱までコントロールできるので素晴らしいシステムです。

このどちらも、何もしなければ湿度30%以下になるところを、40-50%まで上げることができます。エアコン暖房の乾燥対策としては、最善と言えるのではないかと思います。

そもそも、エアコンを使わなくて良い方法がある!

上記では湿度40-50%まで保てる対策についてお伝えしました。
これは素晴らしい成果で、現在多くの高断熱・高気密住宅でも取り入れられています。

しかし、できれば湿度をさらに上げて「心地よく潤っている」と思える50-60%ゾーンを目標としたいですし、
エアコンの風が皮膚にあたるストレスも減らしたい。局所的に温まる、といった温度差も生じさせたくありません。

そして、私たちが行き着いた最良の湿度コントロール方法は、なんと、「エアコンを使わなくても良い家にする」という方法です。
エアコンを使わなければ、空気温度を上げずにすむので、相対湿度を高く保つことができ、結果として乾燥を抑えることができるのです。

「エアコンを使わない家なんて、できるの?!」

はい。できます!
ぜひこちらの連載をご覧ください。

▽連載はこちら。
>>エアコンが無くても「暖かい・涼しい家」ができる?!(1)
>>エアコンが無くても「暖かい・涼しい家」ができる?!(2)
>>エアコンが無くても「暖かい・涼しい家」ができる?!(3)

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